題目 | 超伝導量子回路を用いた量子情報処理・量子センシング |
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日時 | 令和4年2月22日 |
所属 | 日本電信電話株式会社 NTT 物性科学基礎研究所 量子科学イノベーション研究部 超伝導量子回路研究グループ |
講師 | 齊藤 志郎氏 |
アブストラクト | 量子力学の世界では、重ね合わせ状態、もつれ状態といった古典力学では現れない不思議 な状態が存在する。この量子性を積極的に活用した量子情報処理技術が注目を集めている。 特に、超伝導回路から構成される超伝導量子ビットは、その操作性・拡張性への期待から飛 躍的に発展してきた。近年、量子状態制御技術が向上し、量子計算機のみならず、量子シミュレーション、量子センシングといった新しい応用先に向けた研究も進んでいる。 本講演では、超伝導量子回路を用いた量子情報処理技術の現状を概観したのち、超伝導量 子ビットの例として、磁束量子ビットを詳しく紹介する。磁束量子ビットは、量子計算の基 本素子としてだけではなく、巨視的量子性を実証するための素子としても注目を集めてい る。まずは、磁束量子ビットを用いて巨視的実在性の破れを検証した実験結果を紹介する [1]。続いて、電子スピン集団を超伝導量子ビット用の量子メモリとして利用するハイブリ ッド技術[2]と、逆に超伝導量子回路を用いて電子スピンを検出する量子センシングに関す る研究[3]を紹介する予定である。 [1] G. C. Knee, et al., Nature Commun. 7, 13253 (2016). [2] X. Zhu, et al., Nature 478, 221 (2011), S. Saito, et al., Phys. Rev. Lett. 111, 107008 (2013). [3] H. Toida, et al., Appl. Phy. Lett. 108, 052601 (2016), R. Budoyo, et al., Phys. Rev. Mater. |